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Core concepts

State management

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クライアントオンリーなアプリを構築するのに慣れている場合、サーバーとクライアントにまたがった state management(状態管理) について怖く感じるかもしれません。このセクションでは、よくある落とし穴を回避するためのヒントを提供します。

サーバーでは state の共有を避ける

ブラウザは state を保持します(Browsers are stateful) — ユーザーがアプリケーションとやりとりする際に、state はメモリ内に保存されます。一方、サーバーは state を保持しません(Servers are stateless) — レスポンスの内容は、完全にリクエストの内容によって決定されます。

概念としては、そうです。現実では、サーバーは長い期間存在し、複数のユーザーで共有されることが多いです。そのため、共有される変数にデータを保存しないことが重要です。例えば、こちらのコードを考えてみます:

+page.server.js
ts
let user;
/** @type {import('./$types').PageServerLoad} */
export function load() {
return { user };
}
/** @type {import('./$types').Actions} */
export const actions = {
default: async ({ request }) => {
const data = await request.formData();
// NEVER DO THIS!
user = {
name: data.get('name'),
embarrassingSecret: data.get('secret')
};
}
}
+page.server.ts
ts
import type { PageServerLoad, Actions } from './$types';
let user;
export const load: PageServerLoad = () => {
return { user };
};
export const actions = {
default: async ({ request }) => {
const data = await request.formData();
// NEVER DO THIS!
user = {
name: data.get('name'),
embarrassingSecret: data.get('secret'),
};
},
} satisfies Actions;

この user 変数はサーバーに接続する全員に共有されます。もしアリスが恥ずかしい秘密を送信し、ボブがアリスのあとにページにアクセスした場合、ボブはアリスの秘密を知ることになります (訳注: アリスやボブについてはこちら)。さらに付け加えると、アリスが後でサイトに戻ってきたとき、サーバーは再起動していて彼女のデータは失われているかもしれません。

代わりに、cookies を使用してユーザーを 認証 し、データベースにデータを保存すると良いでしょう。

load に副作用を持たせない

同じ理由で、load 関数は 純粋(pure) であるべきです — 副作用(side-effect)を持つべきではありません (必要なときに使用する console.log(...) は除く)。例えば、コンポーネントで store の値を使用できるようにするために、load 関数の内側で store に書き込みをしたくなるかもしれません:

+page.js
ts
import { user } from '$lib/user';
/** @type {import('./$types').PageLoad} */
export async function load({ fetch }) {
const response = await fetch('/api/user');
// NEVER DO THIS!
user.set(await response.json());
}
+page.ts
ts
import { user } from '$lib/user';
import type { PageLoad } from './$types';
export const load: PageLoad = async ({ fetch }) => {
const response = await fetch('/api/user');
// NEVER DO THIS!
user.set(await response.json());
};

前の例と同様に、これはあるユーザーの情報を すべての ユーザーに共有される場所に置くことになります。代わりに、ただデータを返すようにしましょう…

+page.js
export async function load({ fetch }) {
	const response = await fetch('/api/user');

	return {
		user: await response.json()
	};
}

…そしてそのデータを必要とするコンポーネントに渡すか、$page.data を使用してください。

SSR を使用していない場合は、あるユーザーのデータを別の人に誤って公開してしまうリスクはありません。しかし、それでも load 関数の中で副作用を持つべきではありません — 副作用がなければ、あなたのアプリケーションはより理解がしやすいものになります。

context と共に store を使う

独自の store が使用できないのであれば、どうやって $page.data や他の app stores を使用できるようにしているのだろう、と思うかもしれません。その答えは、サーバーの app stores は Svelte の context API を使用しているから、です — store は setContext でコンポーネントツリーにアタッチされ、subscribe するときは getContext で取得します。同じことを独自の store でも行うことができます:

src/routes/+layout.svelte
<script>
	import { setContext } from 'svelte';
	import { writable } from 'svelte/store';

	/** @type {import('./$types').LayoutData} */
	export let data;

	// store を作成し必要に応じて更新します...
	const user = writable();
	$: user.set(data.user);

	// ...そして子コンポーネントがアクセスできるように context に追加します
	setContext('user', user);
</script>
src/routes/+layout.svelte
<script lang="ts">
	import { setContext } from 'svelte';
	import { writable } from 'svelte/store';
	
	import type { LayoutData } from './$types';
	
	export let data: LayoutData;
	
	// store を作成し必要に応じて更新します...
	const user = writable();
	$: user.set(data.user);
	
	// ...そして子コンポーネントがアクセスできるように context に追加します
	setContext('user', user);
</script>
src/routes/user/+page.svelte
<script>
	import { getContext } from 'svelte';

	// context から user store を取得します
	const user = getContext('user');
</script>

<p>Welcome {$user.name}</p>
src/routes/user/+page.svelte
<script lang="ts">
	import { getContext } from 'svelte';
	
	// context から user store を取得します
	const user = getContext('user');
</script>

<p>Welcome {$user.name}</p>

SSR でページがレンダリングされる場合、階層が深いページやコンポーネントで context ベースの store の値が更新されても、その親のコンポーネントの値には影響しません。更新されるときにはすでにレンダリング済みだからです。それとは対照的に、クライアントでは (CSR が有効な場合、これがデフォルトです)、値は伝搬し、階層の上位にあるコンポーネントやページ、レイアウトに値が反映されます。従って、ハイドレーション中の state の更新による値の 'ちらつき(flashing)' を避けるため、通常は state を上から下にコンポーネントに渡すことを推奨します。

SSR を使用していない場合 (そして将来的にも SSR を使用する必要がないという保証がある場合) は、context API を使用しなくても、共有されるモジュールの中で state を安全に保持することができます。

コンポーネントとページの state は保持される

アプリケーションの中を移動するとき、SvelteKit はすでに存在するレイアウトやページコンポーネントを再利用します。例えば、このようなルート(route)があるとして…

src/routes/blog/[slug]/+page.svelte
<script>
	/** @type {import('./$types').PageData} */
	export let data;

	// THIS CODE IS BUGGY!
	const wordCount = data.content.split(' ').length;
	const estimatedReadingTime = wordCount / 250;
</script>

<header>
	<h1>{data.title}</h1>
	<p>Reading time: {Math.round(estimatedReadingTime)} minutes</p>
</header>

<div>{@html data.content}</div>
src/routes/blog/[slug]/+page.svelte
<script lang="ts">
	import type { PageData } from './$types';
	
	export let data: PageData;
	
	// THIS CODE IS BUGGY!
	const wordCount = data.content.split(' ').length;
	const estimatedReadingTime = wordCount / 250;
</script>

<header>
	<h1>{data.title}</h1>
	<p>Reading time: {Math.round(estimatedReadingTime)} minutes</p>
</header>

<div>{@html data.content}</div>

/blog/my-short-post から /blog/my-long-post への移動は、レイアウトやページ、コンポーネントの破棄や再作成を引き起こしません。代わりに、この data prop (と data.titledata.content) は更新されますが (他の Svelte コンポーネントも同様に)、コードは再実行されないため、onMountonDestroy のようなライフサイクルメソッドは再実行されず、estimatedReadingTime も再計算されません。

代わりに、その値を リアクティブ にする必要があります:

src/routes/blog/[slug]/+page.svelte
<script>
	/** @type {import('./$types').PageData} */
	export let data;

	$: wordCount = data.content.split(' ').length;
	$: estimatedReadingTime = wordCount / 250;
</script>

onMountonDestroy にあるコードをナビゲーションのあとに再実行する必要がある場合は、afterNavigatebeforeNavigate をそれぞれ使用します。

このようにコンポーネントを再利用すると、サイドバースクロールの state などが保持され、変化する値の間で簡単にアニメーションを行うことができます。ナビゲーション時にコンポーネントを完全に破棄して再マウントする必要がある場合には、このパターンを使用できます:

{#key $page.url.pathname}
	<BlogPost title={data.title} content={data.title} />
{/key}

state を URL に保存する

もし、テーブルのフィルターやソートルールなどのように、リロード後も保持されるべき state、または SSR に影響を与える state がある場合、URL search パラメータ (例: ?sort=price&order=ascending) はこれらを置くのに適した場所です。これらは <a href="..."><form action="..."> の属性に置いたり、goto('?key=value') を使用してプログラム的に設定することもできます。load 関数の中では url パラメータを使用してアクセスでき、コンポーネントの中では $page.url.searchParams でアクセスできます。

一時的な state は snapshots に保存する

'アコーディオンは開いているか?' などの一部の UI の state は一時的なものですぐに捨てられます — ユーザーがページを移動したり更新したりして、その state が失われたとしてもそれほど問題ではありません。ユーザーが別のページに移動して戻ってきたときにデータを保持しておきたい場合もありますが、そのような state を URL や database に保存するのは行き過ぎでしょう。そういった場合のために、SvelteKit snapshots を提供しています。これによってコンポーネントの state を履歴エントリーに関連付けることができます。